奇妙な形の野菜たち

Literature, photograph, music, guitar, and alcohol (sake, whiskey). What I love and never stop

国に名前をつけるということ

ザンビア(Zambia)、ブルキナ・ファソ(Burkina Faso)、エスワティニ(Eswatini)、ミャンマー(Myanmar)。僕はこれまで沢山の国で仕事をしてきたが、この4カ国はその中で国の名前を変えたことがある国である。アフリカが3カ国、アジアが1カ国になる(ミャンマー)。ただし、国の名前は変わらないが、地名(州・県、市)が変わった国はアジアもアフリカでも沢山ある。そしてその経緯は、国の名前でも地名でも同じである。

ザンビアは1964年、北ローデシア(North Rhodesia)からザンビアに変更した。ちなみに南ローデシアは現在のジンバブエローデシアは、かつての南アフリカ植民地(イギリス)のセシル・ローズ首相の名前から、「ローズの家」という意味で Rhodesiaと名付けられた。なんてあつかましいと思うのは、僕だけであろうか。ちなみに1964年は東京オリンピックの年であった。国名を変えたのはその最中の事であり、ザンビアはオリンピック開会式では北ローデシアとして入場し、閉会式ではザンビアとして退場した。ザンビアの人々は皆このことを誇りに思っており、日本人に大変な好感を持っている(別に日本はこの事になんら貢献もしたわけでもないのに)。

エスワティニは、2018年、スワジランドという国名から変更になった名前である。スワジランドは、1968年にやはりイギリスからスワジ民族の国という意味で名付けられた。僕が仕事をしていた1990年代では、自分の国の名前に"land"という英語が入っていることに反感を持っている人が少なからずいた。

ミャンマーはご存じの人も多いと思う。1989年にビルマBurma)から変わった。僕は、ビルマ政府ともミャンマー政府とも仕事をさせてもらった。

ブルキナ・ファソは、1984年にオートボルタ(Haoute Volta)という国名から変わった。オートボルタはフランス語であり、英語にするとアッパーボルタ(Upper Volta)であり、ボルタ川(ブルキナ・ファソから南のガーナに流れて海に流出する)の上流という意味である。1984年、僕は同国のプロジェクトに従事しており、国の名前が変わる瞬間を経験した。人々は自分たちの言葉が国名になったことに驚喜した。よその国に「ボルタ川の上流」なんて名前を付けるなら、例えばオランダは「ライン川下流」と名前を変えるべきだ。と、当時若かった僕は思った。

写真は、1992年、インドのプロジェクトでベナレス(Benares)に行ったときに撮影した。広大なガンジス川の辺で、川と同化するような人々の営みは、一日中見ていても飽きることがなかった。そして僕は、ヒンドゥー教の一大聖地の重厚な歴史と文化に体中が飲み込まれてしまった。とてもこの地に自分で名前を名付けようとは、小心者の僕は思いつくことすらもできない。ベナレスはその後、2000年代頃だったであろうか、ヴァーラーナシー(Varanasi)というヒンドゥー語本来の名前に戻った。なんて美しく、素晴らしい響きだろう。

追伸:4カ国のうち、どの国の写真を載せようか迷いましたが、インドにしました。いつも僕の拙いブログを読んでくださり、そしてご自身も本当に素晴らしいアジアのフィルム写真を沢山アップされているハテナのブロガーさん。ブロガーさんのインドのラダックの美しいモノクロームの写真に、僕は見る度に吸い込まれてしまいます。それに敬意を表して、僕もインドにしました。ブロガーさんの★に励まされ、また一つ書こうかなと思ってしまいます。僕も★をつけたいのですが、まだ初心者で仕組みを上手く理解できておらずすみません。

ガンジスと一緒に生きる人たち。ガンジスそのものが生の根源なのかもしれない

ガンジスを背に説法をするヒンドゥーのお坊さん。
ヒンドゥーもガンジスから生まれ、人々の日常に深く深く浸透する