奇妙な形の野菜たち

Literature, photograph, music, guitar, and alcohol (sake, whiskey). What I love and never stop

2023-01-01から1年間の記事一覧

井戸の中で

僕は地下水の専門家なので、表流水(河川水)に乏しいアフリカやアジアの国々が僕のクライアントさんだ。河川に恵まれていたとしても、表流水は浄水施設に大きなコストがかかる。だから水質が良好で水処理が必要ない地下水は、開発途上国にとっては非常に重要…

進化の理由を考える

いったいどのような環境の変化に対応するために、このような姿形になってきたのか。先の記事で写真を載せた長い尾が優雅でおしゃれな鳥のように、僕は見たことのない動植物の姿形を見るとそんなことばかり考えてしまう。 見たことのある動植物だって、僕にと…

不思議な形のアフリカの樹木たち

アフリカで仕事をしていると、人々の多彩な生活(拙稿、カラフルアフリカ参照)や野生動物達の多様性に驚くが、植物、特に不思議な形の樹木にも驚かされることが多い。例えばバオバブの木、あのお銚子(大酒飲みの僕だからそう見えてしまうのかもしれないが…

開発って

僕たちの職業は、国内のクライアント(国、自治体)からは建設コンサルタントと呼ばれるが、海外のクライアント(先進各国の国際協力機関、開発系銀行、国際機関etc、ドナーとも呼ばれる)からは「開発コンサルタント」と呼ばれている。それは水資源、農業、…

僕がこの道を歩むことを決めた地、ネパール

「空博くん、ひょっとしたら違う道を歩んでない?」 大学を卒業して、水資源のエンジニアリング会社に就職して、直ぐに途上国の水資源開発のプロジェクトに従事して飛び回り始めた頃、美大を卒業して仲間とデザイン事務所をやっていた友達にそう言われたこと…

スワヒリという名の文化の融合

アフリカとの風景として僕たちがイメージできるものは、広大なサバンナの自然と多くの野生動物、そして槍を片手にサバンナを走るマサイ族(実際はものすごく沢山の種族がいるが)だろう。しかし後者に関して言えば、例えばケニアのナイロビでは、今やスーツ…

アラビアンなアフリカン

僕の拙いブログによく★をつけてくださるはてなのブロガーさんに、マンホールの写真を撮られてる方がいらっしゃいます。その写真がとても素敵です。マンホールってデザインされているのですね、と、当たり前なことに今更感動してしまいまして、これからは僕も…

シンプルアフリカ

我々は物を買いすぎている(すみません、僕が最もそうなのかもしれないのですが)。アフリカの人々のシンプルな生活を見ているとそう思うことがある。そしてシンプルだけど、創造力にあふれていると思う。靴底の剥がれた靴、破れたシャツ、鼻緒が取れたサン…

カラフルアフリカ

アフリカはとてもカラフルな世界だ。しかも原色の世界だ、と僕は感じている。非常に多くの種類の動物、鳥、植物、空、海、どれも色のりが濃くてクリアー。そして色彩豊かな人々の衣装、とてもカラフルでお洒落だ。僕はだからカラフルアフリカと呼んでいる。…

変成岩

地球上の岩石は、その成因によって「火成岩」、「堆積岩」、「変成岩」の3種類に大別される。火成岩(例えば安山岩、玄武岩etc.)は、マグマが冷えて固まった岩石である。熱を持つ地下深くでゆっくり冷えるか、火山の噴火により地上で急速に冷えるか、その冷…

スパイス・ハーモニー

僕の1980年代の仕事はアジアが中心であった。アフリカも1~2ヶ月程度の短期出張は年に1,2度はあったが、ほとんどの仕事はアジアだった。しかも、インド、ネパール、パキスタン、スリランカとカレー圏(僕はそう呼んでいる)の国が多かった。今では日本の…

歴史は繰り返されている

「聖なる光り輝く島」スリランカはしかし、紛争の絶えない国でもあった。スリランカの主な民族は、シンハラ人(74%、仏教)とタミル人(18%、ヒンドゥー教)である。シンハラ人は、紀元前に北インドから上陸したアーリア系民族であり、タミル人は、英国植…

聖なる光り輝く島

僕の1990年代は、ほぼ砂漠の10年間だった(正確には1989年からの11年間)。それは1度目のエジプト・シナイ半島から始まり、チリのアタカマ砂漠、2度目のシナイ半島、そしてナミビアのカラハリ砂漠を終える頃2000年を迎えた。もちろんその間、1ヶ月~2、3ヶ月…

アフリカの時間

僕の写真の撮り方は、available light(自然光)で撮影するのが基本である。ストロボやフラッシュで、人工的に明るくするようなことはしない。室内や夕暮れの暗い野外も、暗い中でのavailable な lightで撮影する。そのため、・・・だけでは無いが、僕はミラ…

走り続けてきた僕を止めてくれるもの

僕はずっと走り続けてきた。世界中の砂漠を、荒野を、ブッシュを、サバンナを、ずっとずっと走り続けてきた。都市インフラ(空港、港湾、電力等)を専門にするコンサルタントは点(ある都市)での調査だが、我々水資源のコンサルタントは面的(広域なエリア…

シナイ半島という地

最近のフライトではそれは非常に少なくなったが、昔は飛行機が目的地に近づくと客室乗務員が入国カード(Disembarkation Card)を乗客一人一人に配りに来た。このカードへの記入は、僕にとって実に憂鬱な作業だった。記入する項目は沢山ある。それらは、名前…

また始まってしまった

また戦争が始まった。 この地域の紛争が始まるとメディアに必ず登場する地図、それはイスラエスとパレスチナ自治区を示す地図、その地図では必ず、僕が8年間も地下水の調査を続けた地域、エジプトのシナイ半島を見ることが出来る。シナイ半島は、西アジアの…

砂漠を渡って

世界中の乾燥地を渡ってきた。一番長かったのは、エジプトのシナイ半島だった。もちろん連続してではないが、8年間に渡りシナイ半島の地下水調査の仕事に携わった。次に長かったのは、チリのアタカマ砂漠と、今回お話しするナミビアのカラハリ砂漠だったか…

内部収束

山で雨が降ると(平野でももちろん雨は降るが)、あるポーションは地表面から、あるいは植物から蒸発し、あるポーションは表流水(川)として地表に流出し、そしてあるポーションは地下に浸透して地下水になる。それらは地形の高い所から低い所に集まりなが…

入植者たち

アフリカの国々には、その国の国籍をもつヨーロッパ系人種(白人)の住民が思いがけず沢山いる。この傾向は、アフリカの中心部より南側が強いと僕は感じている。南アフリカ共和国の北に位置するナミビアでは、その傾向がさらに強い。南アフリカ共和国に関し…

まっすぐな国境線

前回は国の名前について書いたので、今回は国境線について考えてみたいと思う。大陸での国境は一般に、山や川,湖などの自然の地形に沿って曲がりくねったものが多い。しかし世界地図を広げてアフリカ大陸を見ると、まっすぐな一直線の国境が目立つ。僕はス…

国に名前をつけるということ

ザンビア(Zambia)、ブルキナ・ファソ(Burkina Faso)、エスワティニ(Eswatini)、ミャンマー(Myanmar)。僕はこれまで沢山の国で仕事をしてきたが、この4カ国はその中で国の名前を変えたことがある国である。アフリカが3カ国、アジアが1カ国になる(ミ…

9月になると思い出すこと

この時期になると、いつも思い出す。 あの時、僕はスリランカのプロジェクトに従事していた。コロンボの日本食レストラン、「日本橋」のカウンターで、肴をつまみながら熱燗を飲んでいた。カウンター越しに見えるテレビで、BBCのニュース番組を見ながら。番…

無駄なことが好き

今日はアフリカやアジアをちょっと離れて、僕のbehaviorについて話してみよう。Behavior、それは挙動、振る舞い、素行、習性・・・、僕のそれは無駄が多いというのが特徴だと自分でも解っている。無駄、広辞苑第七版で引いてみると、「役に立たないこと」、…

影と陰

一つ前の記事でフィルムの事を書いたので、もう一つ僕のフィルム愛に関して語ろうと思う。フィルムは、白黒は富士フィルムのネオパン400P RESTO、カラーはコダックのコダクロームを使っていた。どちらも、もう10年以上も前に製造を停止した。 写真はやはりザ…

曖昧であるということ

今回のザンジバルの出張には、仕事用のデジタルカメラに加えてフィルムのカメラも一台もっていった。実は僕がプライベートで本格的にデジラルカメラを使うようになったのは、2018年からであり、それまではフィルムカメラがメインだった。もちろん仕事ではデ…

僕たちが凄い勢いで失っているもの

僕が社会人になった1983年、就職した会社では始めてファックス機が来た。あの頃、まだファックスのある会社は少なかった。メーカーの営業マンが設置を終え、会社に準備が整ったことを電話で(もちろん固定電話)伝えると、しばらくしてからファックスは複雑…

創造と調和

アメリカのケンタッキー州には、創造博物館があるということを、30年ほど前にそれを取材した雑誌の記事を読んで知った。進化論を否定し、神が万物を創造したことを証明する博物館だという。今のアメリカにそんなものがあるのかと、Geologist の端くれとして…

奇妙な形の野菜

奇妙な形の野菜が好きだ。 野菜は、環境要因により奇妙な形へ成長する。例えば、体の一部の傷によりそこだけ成長が遅まり、他の部分は普通に成長してゆく。根菜が成長中に先端部分へ傷を受けると、時にそれは枝分かれし、一か所から複数の根が生えたようにな…

並列、あるいは同時進行

昨夜、東京に約2ヶ月ぶりに帰ってきた。ネットのニュースで今年の日本の夏の暑さが報道されていたので想像はしていたが、暑い。ドバイから帰ってきた人に言わさせないでほしい。僕は水資源のコンサルタントなので、アフリカ、アジア、中南米、すなわち開発…