奇妙な形の野菜たち

Literature, photograph, music, guitar, and alcohol (sake, whiskey). What I love and never stop

無駄なことが好き

今日はアフリカやアジアをちょっと離れて、僕のbehaviorについて話してみよう。Behavior、それは挙動、振る舞い、素行、習性・・・、僕のそれは無駄が多いというのが特徴だと自分でも解っている。無駄、広辞苑第七版で引いてみると、「役に立たないこと」、「益のないこと」と出ていた。

なんて的確に僕のbehaviorを言い当てている説明か。さすが広辞苑である。

僕はもう10年以上も前から小説を書いては文芸誌に投稿しているが、選考でひっかかったことはない。こんなに忙しいのに、小説を書いていること自体が無駄。それは自分でも解っているのだけれど、書きたいのだ。書きたいことが沢山あるから。

ちょうど10年前に、「これはいける」と自分でも確信を持った作品ができた。結果はやはり駄目だったが。その作品の重要な登場人物に、ゼンザブロニカ

https://one-scene.com/products/77)に白黒フィルムで写真を撮る女性を登場させた。僕はその登場人物が写真を撮影する姿を描写するために、自分もゼンザブロニカを所有して中判フィルムの写真を取る感覚を覚えないといけないと思った。

そんなことを思いつくことが、実に無駄なことだ。

中判カメラの扱いが多い有名中古カメラ屋に通ってゼンザブロニカの品定めをしているうちに、僕は店の奥のショーケースショーケースに並べられているハッセルブラッドhttps://one-scene.com/products/132)に心が奪われていった。ゼンザブロニカは、いわゆる和製ハッセルブラッドであり、ハッセルこそ中判カメラの王者であり、値段も桁が違う。ショーケースから1台のハッセル(500CM)を取り出してもらい、重量感のあるボディーを左の掌にのせ、右手でフィルムレバーを一巻きして、レンズシャッタを押した。その時の”バコン”という大きな乾いたシャッター音と、同時に両腕に受けたシャッターの振動を感じた途端に僕は、これを買おうと決心した。

無駄を通り越して、バカである。

でも、出来上がったこの真四角の写真。画角が変わっただけでも35mmのフィルムとはまったく違う。そしてCarl Zeiss色乗り濃い発色、その場の空気感まで写し込まれた写真。この感動は僕にとって決して無駄ではないのだ。

多摩丘陵の秋の空。葉から透けて見える空の複雑で深い色が美しい

 

タイムスリップしたような京成立石の商店街。町の息づかいまで写し撮ってしまった。