奇妙な形の野菜たち

Literature, photograph, music, guitar, and alcohol (sake, whiskey). What I love and never stop

水の無い川

「ええっ!そんな川があるんですか?」 OJT(On the Job Training)で僕のタンザニアの統合水資源管理プロジェクトへ派遣されたクライアントの新入社員(会社ではないので社員とは言わないとは思うが)は、僕の間欠河川の説明にひどく驚いた。 「水が無いな…

生活の息吹が見える、ストーンタウンの小さなお店たち

今年の1月と2月はザンジバルの出張だったので、いそいそとフィルムカメラをもちこんで、週末はストーンタウンでカメラとお散歩三昧をしてきた。カメラは、今回は古いNikonでは無く、Leica(これも決して新しくは無いが)にした。そしてフィルムはFomapanを初…

僕がこの地球で食べてきたもの

例えばゴルフで、初めてのメンバーさんと同じ組でラウンドする。前半の9ホールが終わりランチの時間になれば4人はもう打ち解けている。「空博さんはどんなお仕事されているのですか?」と、そういうタイミングで聞かれることが多い。僕が自分の仕事(長期間…

僕を乗せて地球を走った車たち

僕は車が好きだ。 僕が少年時代、幼稚園から小学校の高学年になるころあたりまで、日曜日は家族で自家用車(当時はわざわざそう呼んでいた)にのって日本橋のデパートに行くのが毎週の恒例だった。僕は決まって紺のブレザーに紺の半ズボン、そして白いハイソ…

コダクロームな、あるいは2Bの鉛筆な国。それはバングラデシュ

こういうことを言うと、きっとバングラデシュの人に怒られると思うので小さな声で囁こう。バングラデシュは・・・、決して美しくはない。もう少し具体的にいうと、一般的な美意識からすると、美しさの基準から外れている、と思われる。あまり具体的ではなか…

連携。ドナーと国際機関が見せた底力

「空博さん、すみません、帰国を1、2週間ほど延期してもらうことは可能ですか?」 ダッカで海外出張用の携帯電話の着信を受けると、日本からクライアントさんの国際電話であった。この年(2017年)の8月から9月にかけ、ミャンマーから国境を越え、80万人のロ…

僕たちは屈しない

僕の父親は大の新しいモノ好きで、あらゆる家電製品、自家用車(当時はそう呼ばれており、後部トランクには「自家用」というステッカーが貼られていた)が発売されると直ぐに新しいモノを購入していた。僕の少年時代、すなわち1960年代は、家電製品や車が飛…

水はあれども・・・、バングラデシュの場合

1971年に独立したバングラデシュは,不衛生な表流水(河川、表層の溜まり水etc.,)の飲料による水因性疾患(下痢等)が蔓延していた。国際機関(国連、WHO等)は、水への困窮度を示す指標の1つとして「乳幼児(5歳未満の子供)死亡率」を用いる。単位は人/…

混沌(カオス)の国、バングラデシュ

僕のかつての会社は、世界中のエンジニアリング会社ランキングでも常にベスト10に入る大きな開発コンサルタント会社であった。したがって、あらゆるセクター、それは水資源、農業、都市開発、建築、道路、橋梁、鉄道、電力etc. 多様なエンジニア(コンサルタ…

原子核と電子

僕の仕事は、簡単に言えば「水」を探す仕事である。娘がまだ小さい頃、一緒にお風呂に入るとかならず、「ねえ、パパのお仕事って、砂漠に行って水を見つけて「おーい、ここに水があるよ~!」って砂漠の人に教えてあげることなの?」と聞かれる。娘に僕は仕…

井戸の中で

僕は地下水の専門家なので、表流水(河川水)に乏しいアフリカやアジアの国々が僕のクライアントさんだ。河川に恵まれていたとしても、表流水は浄水施設に大きなコストがかかる。だから水質が良好で水処理が必要ない地下水は、開発途上国にとっては非常に重要…

進化の理由を考える

いったいどのような環境の変化に対応するために、このような姿形になってきたのか。先の記事で写真を載せた長い尾が優雅でおしゃれな鳥のように、僕は見たことのない動植物の姿形を見るとそんなことばかり考えてしまう。 見たことのある動植物だって、僕にと…

不思議な形のアフリカの樹木たち

アフリカで仕事をしていると、人々の多彩な生活(拙稿、カラフルアフリカ参照)や野生動物達の多様性に驚くが、植物、特に不思議な形の樹木にも驚かされることが多い。例えばバオバブの木、あのお銚子(大酒飲みの僕だからそう見えてしまうのかもしれないが…

開発って

僕たちの職業は、国内のクライアント(国、自治体)からは建設コンサルタントと呼ばれるが、海外のクライアント(先進各国の国際協力機関、開発系銀行、国際機関etc、ドナーとも呼ばれる)からは「開発コンサルタント」と呼ばれている。それは水資源、農業、…

僕がこの道を歩むことを決めた地、ネパール

「空博くん、ひょっとしたら違う道を歩んでない?」 大学を卒業して、水資源のエンジニアリング会社に就職して、直ぐに途上国の水資源開発のプロジェクトに従事して飛び回り始めた頃、美大を卒業して仲間とデザイン事務所をやっていた友達にそう言われたこと…

スワヒリという名の文化の融合

アフリカとの風景として僕たちがイメージできるものは、広大なサバンナの自然と多くの野生動物、そして槍を片手にサバンナを走るマサイ族(実際はものすごく沢山の種族がいるが)だろう。しかし後者に関して言えば、例えばケニアのナイロビでは、今やスーツ…

アラビアンなアフリカン

僕の拙いブログによく★をつけてくださるはてなのブロガーさんに、マンホールの写真を撮られてる方がいらっしゃいます。その写真がとても素敵です。マンホールってデザインされているのですね、と、当たり前なことに今更感動してしまいまして、これからは僕も…

シンプルアフリカ

我々は物を買いすぎている(すみません、僕が最もそうなのかもしれないのですが)。アフリカの人々のシンプルな生活を見ているとそう思うことがある。そしてシンプルだけど、創造力にあふれていると思う。靴底の剥がれた靴、破れたシャツ、鼻緒が取れたサン…

カラフルアフリカ

アフリカはとてもカラフルな世界だ。しかも原色の世界だ、と僕は感じている。非常に多くの種類の動物、鳥、植物、空、海、どれも色のりが濃くてクリアー。そして色彩豊かな人々の衣装、とてもカラフルでお洒落だ。僕はだからカラフルアフリカと呼んでいる。…

変成岩

地球上の岩石は、その成因によって「火成岩」、「堆積岩」、「変成岩」の3種類に大別される。火成岩(例えば安山岩、玄武岩etc.)は、マグマが冷えて固まった岩石である。熱を持つ地下深くでゆっくり冷えるか、火山の噴火により地上で急速に冷えるか、その冷…

スパイス・ハーモニー

僕の1980年代の仕事はアジアが中心であった。アフリカも1~2ヶ月程度の短期出張は年に1,2度はあったが、ほとんどの仕事はアジアだった。しかも、インド、ネパール、パキスタン、スリランカとカレー圏(僕はそう呼んでいる)の国が多かった。今では日本の…

歴史は繰り返されている

「聖なる光り輝く島」スリランカはしかし、紛争の絶えない国でもあった。スリランカの主な民族は、シンハラ人(74%、仏教)とタミル人(18%、ヒンドゥー教)である。シンハラ人は、紀元前に北インドから上陸したアーリア系民族であり、タミル人は、英国植…

聖なる光り輝く島

僕の1990年代は、ほぼ砂漠の10年間だった(正確には1989年からの11年間)。それは1度目のエジプト・シナイ半島から始まり、チリのアタカマ砂漠、2度目のシナイ半島、そしてナミビアのカラハリ砂漠を終える頃2000年を迎えた。もちろんその間、1ヶ月~2、3ヶ月…

アフリカの時間

僕の写真の撮り方は、available light(自然光)で撮影するのが基本である。ストロボやフラッシュで、人工的に明るくするようなことはしない。室内や夕暮れの暗い野外も、暗い中でのavailable な lightで撮影する。そのため、・・・だけでは無いが、僕はミラ…

走り続けてきた僕を止めてくれるもの

僕はずっと走り続けてきた。世界中の砂漠を、荒野を、ブッシュを、サバンナを、ずっとずっと走り続けてきた。都市インフラ(空港、港湾、電力等)を専門にするコンサルタントは点(ある都市)での調査だが、我々水資源のコンサルタントは面的(広域なエリア…

シナイ半島という地

最近のフライトではそれは非常に少なくなったが、昔は飛行機が目的地に近づくと客室乗務員が入国カード(Disembarkation Card)を乗客一人一人に配りに来た。このカードへの記入は、僕にとって実に憂鬱な作業だった。記入する項目は沢山ある。それらは、名前…

また始まってしまった

また戦争が始まった。 この地域の紛争が始まるとメディアに必ず登場する地図、それはイスラエスとパレスチナ自治区を示す地図、その地図では必ず、僕が8年間も地下水の調査を続けた地域、エジプトのシナイ半島を見ることが出来る。シナイ半島は、西アジアの…

砂漠を渡って

世界中の乾燥地を渡ってきた。一番長かったのは、エジプトのシナイ半島だった。もちろん連続してではないが、8年間に渡りシナイ半島の地下水調査の仕事に携わった。次に長かったのは、チリのアタカマ砂漠と、今回お話しするナミビアのカラハリ砂漠だったか…

内部収束

山で雨が降ると(平野でももちろん雨は降るが)、あるポーションは地表面から、あるいは植物から蒸発し、あるポーションは表流水(川)として地表に流出し、そしてあるポーションは地下に浸透して地下水になる。それらは地形の高い所から低い所に集まりなが…

入植者たち

アフリカの国々には、その国の国籍をもつヨーロッパ系人種(白人)の住民が思いがけず沢山いる。この傾向は、アフリカの中心部より南側が強いと僕は感じている。南アフリカ共和国の北に位置するナミビアでは、その傾向がさらに強い。南アフリカ共和国に関し…